しとしとと雨が降る季節になりましたね。
日ごとに湿度が高まり、梅雨の気配が濃くなってきました。
この時期、我が家では毎年恒例の「梅仕事」が始まります。いつもは実家で母が漬けてくれた梅漬けをいただく側でしたが、今年は母に手ほどきを受けながら、自分でも挑戦してみたいと思います。
市販の梅干しなどは塩分が高いものが多いですが、手作りすれば塩分量を調整できるし、市販品では味わえない奥深い美味しさがあります。
初めての方でも気軽に挑戦できる、我が家流の「減塩梅干し・梅漬け」の作り方と、梅が持つ驚きの健康効果についてもたっぷりご紹介します。
皆さんも、梅仕事の楽しさを味わってみませんか?
梅の豊かな香りに包まれる夏を始めましょう!
( 以下のcontentsから、興味のあるセクションに直接移動できます。気になるところから、気軽に読んでみてください。)
我が家流ポイント!
完熟梅を厳選
少しでも黄色く熟した、香り豊かな梅を使うことで、減塩でも風味豊かな梅漬けに仕上がります。皮が薄く果肉が柔らかい南高梅がおすすめです。
減塩の秘訣は「塩分10%~12%」
通常の梅干しは塩分が20%前後ですが、我が家では10%にしています。これでも十分美味しく、塩分を気にせず食べられます。
焼酎35度でカビ知らず
一般的なものよりも塩分が控えめなので、カビ対策は念入りにしなくてはいけません。35度以上のアルコールはカビ防止にとても効果的です。少し多めに使うのが我が家流です。
土用干しは焦らずゆっくり
晴天が続かない時は、無理せず中断して、また晴れた日に再開しても大丈夫です。焦らずじっくり干すのが美味しい梅干しを作る秘訣です。雨が降りそうなときは、室内に入れるか、軒下など雨の当たらない所に移動させましょう。
我が家は土用干ししないで梅漬けに
土用干しをしない梅漬けは、梅干しよりも果肉が柔らかく、しっとりとした食感になります。梅のフレッシュなみずみずしさが残り、とろけるような口当たりが楽しめるので、最近の我が家では、土用干し(工程⑤)はせず、「梅漬け」として楽しんでいます。お好みで梅干しか梅漬けを選択してくださいね。
材料
A(塩漬け:工程②)
- 南高梅:2㎏
- 漬け込み塩(粗塩:200g、グラニュー糖:100g)※粗塩は梅の重量の10%
- ホワイトリカー50cc(甲類焼酎など35度以上のアルコールでもOK)※梅を殺菌するため
- 重石:梅の1.5~2倍
B(赤紫蘇漬け:工程④)
- 赤紫蘇:梅1㎏に対し500g
- 粗塩:30gぐらい
作り方
①梅の下準備
・梅を水で優しく洗います。
・爪楊枝でヘタを一つ一つ丁寧に取り除き、一晩水につけてアクを抜きます。


・ザルにあげ、清潔なタオルやキッチンペーパーで水気をしっかり拭き取ります。(カビ防止のため)
②塩漬け
・材料Aの漬け込み塩、粗塩200gとグラニュー糖100gを混ぜ合わせます。
・清潔な保存容器の底に、漬け込み塩を薄く敷きます。
・梅を一層並べ、その上に漬け込み塩をまぶします。これを繰り返し、全ての梅と漬け込み塩を交互にいれます。※最後は、梅の上に漬け込み塩になるようにします。(多めに)
・ホワイトリカーを全体にまわしかけます。これはカビの発生を抑える効果があります。※甲類焼酎など35度以上のアルコールでもOK
・梅の重さ1.5倍~2倍(我が家は1.5倍)の重石を乗せ、冷暗所で保管します。






③梅酢が上がるまで
・2~3日すると、梅から水分が出てきて梅酢が上がってきます。梅が梅酢に浸るまで待ちましょう。
・梅酢が上がりにくいときは、重石を増やしてみましょう。塩が溶けるように揺するのも効果的です。
④赤紫蘇漬け
・赤紫蘇は葉を茎から外し、水で丁寧に洗って陰干しします。
・水気が飛んだら、ボウルに赤紫蘇を入れ、材料Bの粗塩の半分を加えて、はじめは優しく塩をまぶすように揉みます。紫蘇がしんなりしてきたら、上から押すようにしっかりともみこんでいきます。
最初はボウルいっぱいにあった赤紫蘇が、上からしっかり(体重をかけるように)揉むうちに、みるみるうちにカサが減っていくのが分かります。


・アクを含んだ黒っぽい汁が出てくるので、ぎゅっと絞って捨てます。
・残りの粗塩を加えて揉み、もう一度ぎゅっと絞って残りのアクを捨てます。
この黒い汁は、えぐみや雑味の原因となるので、しっかりと取り除くのがポイントです。最後に、赤紫蘇をぎゅっと固く絞って丸い形(紫蘇玉)にします。
※このボウルに、ちょうどいっぱいの赤紫蘇が、上の写真のぐらいの紫蘇玉になります。


これで500g分の紫蘇玉ができあがりました。
今回は梅2㎏をつけているので、この倍の紫蘇玉をつくしました。
・③で上がってきた梅酢を少量(紫蘇玉がしっとりするぐらい)別容器に取り、紫蘇玉に少しずつ回しかけながらほぐします。そうすると、鮮やかな赤い色が一気に広がり、美しい色に発色します。



・赤く発色した紫蘇を②の塩漬けした梅の上に広げるようにして乗せます。
一段目、二段目も同じように、梅を紫蘇を重ねていきます。



最後に、紫蘇で蓋をするように仕上げるのがポイントです。
残った梅酢も全て入れましょう。
この梅酢が、梅干し全体をさらに深く、そして美しく染め上げてくれます。
全ての工程が終わったら、冷暗所で保管します。
⑤土用干し
・梅雨明けの晴天が続く「土用」の時期になったら、いよいよ土用干しです。
・梅をザルなどに重ならないように並べ、日当たりの良い場所で3日3晩干します。夜露に当てることで、梅が柔らかくなります。
・全体が均一に乾くように、梅と紫蘇の上下をひっくり返します。
・3日目の夜には、梅干しらしいシワシワの梅干しになっているはずです。
⑥保存
・干し上がった梅干しは、清潔な保存容器に入れ、冷暗所で保存します。
・すぐに食べられますが、半年~1年ほど熟成させると、よりまろやかで深みのある味わいになります。
期待できる健康効果
1.疲労回復に貢献するクエン酸
梅漬けの代表的な酸味成分であるクエン酸は、私たちの体に様々な良い影響をもたらしてくれます。
【疲労物質の排出】クエン酸は、疲労の原因となる乳酸の分解を促進し、体外への排出を助けます。これにより、体の疲れや肩こりなどの解消が期待できます。
【ミネラルの促進】カルシウムや鉄分といったミネラルの可溶性を高め、体への吸収を促進する「キレート作用」があります。骨の健康維持や貧血予防にも間接的に役立ちます。
【食欲増進】酸味は唾液の分泌を促し、食欲を刺激します。夏バテで食欲が落ちやすい時期にも、梅漬けは食欲増進に役立ちます。
2.腸内環境を整える植物性乳酸菌と有機酸
梅漬けには、植物性乳酸菌が含まれており、発酵食品としての側面も持ちます。
【整腸作用】植物性乳酸菌は腸内の善玉菌を増やし、悪玉菌の増殖を抑えることで、腸内環境を良好に保ちます。これにより、便秘予防・改善だけでなく、免疫力の向上にもつながると言われています。
【カテキン酸】梅に含まれるカテキン酸も、悪玉菌の制御に働きかけ、乳酸菌との相乗効果でより高い整腸作用が期待できます。
3.抗酸化作用で体のサビつきを防ぐポリフェノール
梅や赤紫蘇には豊富なポリフェノールが含まれています。
【老化予防】体内で発生する活性酸素は、細胞を傷つけ、老化や生活習慣病の原因となると考えられています。梅のポリフェノールは、この活性酸素を除去する強力な「抗酸化作用」を持ち、体の酸化を防ぎ、若々しさを保つ手助けをします。
4.余分な塩分排出を助けるカリウム
梅には、ミネラルであるカリウムも含まれています。
【塩分バランス調整】カリウムは体内の余分なナトリウム(塩分)を体外に排出する働きがあり、体内の水分バランスを整えるのに役立ちます。
まとめ
このように、クエン酸、ポリフェノール、植物性乳酸菌など、梅が持つ多くの健康成分は日々の健康維持に役立つと思います。
初めての梅干し作りは少しハードルが高く感じるかもしれませんが、一つ一つの工程はそんなに難しくありません。(不器用でずぼらな私ができたぐらいですから)笑
食卓に自家製梅干しが並ぶと、気分も豊かになる気がします!
ぜひ、皆さんも我が家流の「減塩梅干し」に挑戦してみて下さいね!
3~5の工程は、日を追って写真アップなど追加していきたいと思います。
※写真などを2025年7月14日追加しました。